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Inside YouTube

YouTube CEO からのレター:2024 年の 4 つの投資

By Neal Mohan

CEO YouTube

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YouTube に 最初の動画 が投稿されて以来、YouTube はさまざまなストーリーを伝える新しい方法を生み出し、それによってストーリーを持っている人なら誰でも視聴者を見つけられるようになりました。人々はキッチン、寝室、庭などで撮影した動画を投稿し、世界中に広がるコミュニティを築き上げました。


YouTube は、この創造性をさらに一歩前に進め、クリエイターと収益を分配するという大きな賭けに出ましたが、その後のクリエイター エコノミーの成長は驚くべきものでした。昨年、YouTube でコンテンツを作成したクリエイター数は過去最高を記録し、現在、300 万を超えるチャンネルが YouTube パートナー プログラム(YPP)に参加しており、クリエイターは YPP を通じて YouTube で収益を得ています。YouTube は、どの収益化が可能な他社のプラットフォームよりも、最も多額の支払いを行っており、この 3 年間でクリエイター、アーティスト、メディア企業に 700 億ドル以上を支払いました。

現在、生成 AI の新たな進化により、創造性をどのように表現するかについて重要な問題が提起されています。そうした中であっても、YouTube はこれまでと同様にパートナーシップを大切にしていきます。YouTube はクリエイティブな表現に力を与え、権利を管理し、パートナーの収益を促進する新しい方法を開発していく予定です。
私たちは歴史の重要な局面に立っているわけですが、この先に何が待ち受けているか楽しみです。今回は、こうした変化について YouTube がどのように考えているのか、2024 年のビジョン、さらには YouTube 全体で行っている 4 つの大きな投資についてお話しします。


1: 人間の創造性を強化する AI


私はテクノロジーと創造性が交わる場所でずっと働いてきたことから、生成 AI に秘められた可能性と私たちが直面する問題の両方を認識しています。幸いなことに YouTube は、これまでに 収益化権利 の管理コミュニティの保護 など、コンテンツに関わる複雑な課題に長年取り組んできました。


YouTube は、何年も前に YouTube を立ち上げたときと同じ使命を持って AI の進歩に取り組んでいます。私たちは 皆さん の創作活動をお手伝いしたいと思っています。AI は人間の創造性に取って代わるものではなく、人間の創造性をサポートするものであるべきです。そして誰もが創造的な表現の限界を押し広げられるような AI ツールにアクセスできるべきだと考えます。


YouTube は昨年、こうした革新に向けた意欲を形にする新しい AI の試験運用を発表しました。AI が生成した動画や画像の背景をショート動画に追加できる新機能 Dream Screen (日本未導入)で創造性を拡大しようとしています。アイデアを入力するだけで、 ポップコーンが噴き出す火山やディスコの森 など、想像し得るあらゆるものを作成できます。また、私たちは Music AI Incubator を通じて、AI がクリエイティブ プロセスを強化する方法についてアーティストからフィードバックを得ています。YouTube は昨年、業界のパートナーと協力して音楽分野における AI の可能性を探る最初の試験運用の一つである Dream Track (米国のみ)を発表しました。これまでの経緯については こちら をご覧ください。


YouTube は活動の場を分け隔てないものにし、すべてのユーザーに力を与える AI ツールを開発しています。AI の利用を民主化するという YouTube の取り組みは、YouTube ショートを通じて誰もがスマートフォンから直接 楽しい動画を共有 (英語)できるようにしていることに基づいています。次世代のストーリテラーは、創造性を発揮する手段を手のひらに収めているのです。YouTube ショートは誰でも簡単に始めることができる上、 AI の革新 によってさらに多くの人々がコンテンツを作成できるようになります。私は、クリエイターが YouTube ショートを利用してそれぞれの文化におけるモーメントに参加している様子を見ると嬉しくなります(例: 1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 , 7 , 8 , 9 , 10 )。YouTube ショートの 1 日の平均視聴回数は 700 億回を超え、YouTube ショートを投稿するチャンネルの数は前年比で 50% 増加しました。


今年も、クリエイティブ業界との連携や AI を活用した機能の展開を通じて、AI が創造的な活動をサポートできるように引き続き取り組んでいくとともに、適切な保護機能を構築しながら機会を開拓していきます。

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2: 次世代の制作スタジオとして認識されるべきクリエイター


クリエイターたちは世界中の人々を楽しませ、笑わせ、繋がりを作りながら長年にわたって名声を築いてきました。さらには、単純に「ユーザー生成コンテンツ」として片づけることができない一流のストーリーテリングでエンターテイメント業界の未来を再定義しています。
クリエイターに注目しているのはエンターテインメント業界だけではありません。 世界各国のリーダーたち も、クリエイターたちの広範な影響力を活用し始めています。昨年秋、サンフランシスコで行われた APEC 経済リーダーズウィークでは、カナダの外務大臣や米国商務長官などの政府関係者が、 Toby HendyLiah YooHumphrey Yang といったクリエイターたちと対談し、視聴者とのつながりを深めました。私もこれらの対談の一部を直接拝見する機会がありましたが、指導者達がクリエイターの影響力を理解しているのは素晴らしいことです。
クリエイターは真の起業家であり、私たちは、クリエイターが YouTube で収益を得られる方法を多様化できるようサポートしています。YouTube は、「 商品の紹介 」機能により視聴者の商品購入のサポートをしつつクリエイターが 収益化 (英語)できるようにも 投資 を続けています。また、視聴者はチャンネル メンバーシップなどの 視聴者ファンディング機能 を通じて、お気に入りのクリエイターを直接サポートしています。メンバーシップを利用するクリエイターの数は昨年 50% 以上増加し、クリエイターは視聴者ファンディングのインパクトを実感しています。たとえば、 Narae is Consultingメンバーシップに注力 することで自身のキャリア開発コンテンツにより多くの視聴者を引き付けています。また、 Emily D. Baker は昨年、メンバーシップによる収益が 50% 以上増加し、今では彼女の YouTube 収益の大部分はメンバーシップによるものになっています。
さらに、私たちは、クリエイターを集めて体験を共有し、コミュニティを築き、コラボレーションする Creator Collective などのプログラムを通じて、表に見えないところでもクリエイターのサポートに取り組んでいます。YouTube は昨年、このプログラムの試験運用を 8 か国(日本未導入)で開始し、 クリエイター から 有益な フィードバック を頂きました。
今年は、クリエイターがもたらす経済的価値およびエンターテインメントとしての価値を業界の政策立案者やパートナーにより理解していただけるよう、サポートしていく予定です。クリエイターは世界中の視聴者を相手にするフルタイムの仕事ですが、ほとんどの政府は自国の労働データにおいてクリエイターの存在を考慮していません。クリエイターの仕事は認識されるべきであり、各分野のトップに位置するクリエイターは主要な業界フォーラムで認められて然るべきだと考えています。


3: YouTube の次なる開拓地、リビングルームと定額制サービス


私が YouTube で働き始めた頃、人々は大手制作会社のコンテンツとクリエイターが作るコンテンツはまったく別のものだと考えていましたが、今ではその明確な区別はなくなりました。今日では、スポーツの生中継、BBC、 Khan AcademyNikkieTutorials などあらゆるコンテンツを 1 か所にまとめて観たいと思う人が多くなっています。私たちがかつて友人や家族と一緒に従来のテレビ番組を観ていたように、自宅の大きなテレビ画面で一緒に YouTube を見ています。今では、世界中で YouTube のコンテンツが毎日平均 10 億時間以上テレビ画面で視聴されています。米国の ストリーミングに関する Nielsen のレポート によると、過去 11 か月間にストリーミング総再生時間が最も多いプラットフォームは YouTube でした。

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クリエイターは、コンテンツをリビングルーム向けに最適化する方法を模索していますが、視聴者がコンテンツを視聴する場所がリビングルームになってきているのですから、それは当然のことです。過去 3 年間で、視聴時間の大部分をテレビ画面で得たトップ クリエイターの数は 400% 以上増加しました。*1 たとえば昨年の下半期、 Ms Rachel  と SypherPK のリビングルームでの視聴時間は 2 倍に増えました。また、思いもよらないことかもしれませんが、ユーザーはテレビ画面でショート動画を好んで見る傾向があります!


YouTube は、視聴者が YouTube について気に入っている、スポーツを含むすべてのものをリビングルームで体験できるようにしています。 NFL サンデー チケット最初のシーズン の配信(米国のみ)を終えたところですが、これは YouTube の未来を如実に表しています。 Deestroying  などのクリエイターによる解説や Kelce 兄弟のポッドキャスト New Heights をはじめとして、YouTube は人々が見たいコンテンツをすべてお届けしていきます。


また、YouTube の定額制サービスについても反響が高まっています。YouTube TV(米国のみ)の登録者数は 800 万人を超えました。そして、YouTube Music と YouTube Premium の総メンバー数はトライアルも含めて 1 億人を超えています。YouTube Music の定額制サービスは、 Coachella 関連情報への先行アクセスから、 NewJeansDua LipaTate McRae などの YouTube ショートチャレンジまで、アーティストがファンとつながるための最高の場所になるという YouTube の目標達成にも貢献しています。
今年も、定額制サービスとリビングルームでの YouTube 視聴という、最高の体験を提供していきます。


4: 基盤となるクリエイター エコノミーの保護


以上の優先事項に取り組むなかで YouTube が最も大切にしていることは、責任を持って YouTube コミュニティを保護することです。ストリーミング サービスとしての私たちのビジネスは、エンゲージメントだけでなく、視聴者や広告主に、YouTube には高品質のコンテンツがあることを理解してもらい、信頼してもらえるかにかかっています。クリエイター エコノミーを保護することは YouTube のすべての取り組みの基盤であり、ビジネスにとっても望ましいことです。


子どもたちのために健全なオンライン体験を提供することは重要です。自分の子どもが家でテクノロジーを使用しているところを見ていると、宿題や、新しいヘアスタイルのチュートリアルに至るまで、子どもたちのサポートに毎日 YouTube を利用している家族がどれだけいるのだろうと考えることがあります。YouTube の若年層向けの製品は毎月 1 億人以上のアクティブな視聴者にリーチしており、子育てやメンタルヘルスの専門家と 協力 して、さまざまな面に配慮しながら 子どもたち青少年 (英語)の成長をサポートしています。


YouTube は他にも、人々を質の高い情報に結び付けることで責任を果たしています。今年は 50 か国以上で選挙が行われるため、この責任はこれまで以上に重要なものになります。YouTube では、ユーザーが選挙関連ニュースを検索すると、信頼できる情報源が検索結果やおすすめで見つかりやすいようにしています。YouTube は長年にわたり、YouTube 上のコンテンツを責任を持って管理するための 対策に投資 (英語)してきました。ヘイトスピーチ、暴力扇動、選挙妨害などに対する厳格なポリシーもその一環です。


新しい課題が生じると YouTube は迅速に進化して適応してきました。生成 AI によってディープフェイクの巧妙さが増しているなか、新たな問題が提起されるたびに、私たちは同様に迅速に取り組んでいます。合成によって生成されたコンテンツには既存のすべてのポリシーを適用するだけでなく、透明性と保護設定の新しいレイヤーも追加していきます。たとえば、今後数か月以内に、実物然としたコンテンツを目にしている視聴者に対し、それが合成であると知らせる ラベルを導入 する予定です。


YouTube はあらゆる側面において責任ある取り組みに注力しており、YouTube コミュニティを保護するチームとテクノロジーに対する投資を継続していきます。


使命の実現に向けて


以上が 2024 年に向けた 4 つの大きな投資ですが、YouTube の取り組みはこれだけではありません。新しいことを学んだり、ポッドキャストを聴いたり、お気に入りのゲーム クリエイターのライブ配信を視聴したりなど、YouTube では可能な限り最高の体験を生み出しています。YouTube が日々取り組んでいるイノベーションのほとんどは、表立ったニュースになるようなものではありませんが、どれもストーリーを通じて人々のつながりをサポートするという私たちの使命を実現するものばかりです。


もちろん、これらはいずれも、クリエイター、視聴者、広告主、パートナーの皆様なくしては成り立ちません。世界中の人々が毎日 YouTube に集えるように尽力してくださっているこの素晴らしいコミュニティに感謝します。皆さんが次に YouTube を活用して何をされるのか楽しみにしています。



*1) 月間総再生時間が 10 万時間を超えるクリエイターが対象